【アラビア語文法】15~19:定冠詞「アル」
今回は英語でいうところのtheを表す、定冠詞「アル」について解説します。
定冠詞「アル」とは
定冠詞「ال (アル)」は英語の”the”に当たります。
a book「(ある一冊の)本」と言う場合、単語の末尾に非限定を意味するタンウィーンをつけて、「キターブ(ン)」となります。 右側の単語がそれに当たります。
一方で、the book「その本」と言いたい場合、単語の前に定冠詞「ال (アル)」をつけて「アルキターブ」となります。
意味的に限定されるので、末尾に付いていたタンウィーンの「ウン」の音が取れ「ウ」のみの音となります。
定冠詞「アル」と太陽文字
アルの後ろに「太陽文字」と呼ばれる文字がくると、太陽文字に「シャッダ(wのようなマーク)」がつき、アルの音が「アッ」になります。
これは発音の関係上、「ル」の音が太陽文字の音に吸収されてしまうからです。
「太陽文字」の音を大まかに日本語で表すと、「タ・サ・ダ・ラ・ザ」にあたる文字と「ヌーン」がそれにあたります。
「その学生」をアラビア語で表すと、「アル」と「ターリブ(ン)が」くっつき、学生は「タ」で始まる音なので「アッターリブ」となります。
太陽文字の「ヌーン」
しかし、太陽文字の「ヌーン」は、唯一「アッ」ではなく「アン」になります。
なぜなら「ヌーン」が「n」の音で、2つ連続すると「ン」の音を作るからです。
例えば、「河川」を意味する「ナフル “nahr(un)”」に定冠詞「アル “al”」がつくと、シャッダがついて「n」が2つになり「annahru (アンナフル)」になります。
前にほかの単語が来る場合
定冠詞「アル」の前になにかしらの単語がつくと、連結して読まれるので「ア」が発音されなくなり「アル」→「ル」になります。
例えば英語のHow「どう」に当たる「カイファ」と一緒に使って「状態はどうですか?」という文章を作ると、「カイファ」「ル」「ハール」となります。
子音のみの音が連続する場合
「~ですか」を意味する「ハル」と定冠詞「アル」が連続する場合、「ハリ」と「ル」に音が変わって読まれます。
これは「ハル hal」と「アル al」が連結して音が変わった「ル l」がくっつくと「ハルル hal-l」となり、母音のついていない音(子音のみの音)が連続してしまうため、「ハル hal」の方に母音「イ i」を入れて「ハリルhalil」と読みやすくするためです。
例えば「ハル」と「アルキターブ」がくっつく場合、「ハリ」「ルキターブ」”hali-lkitaab”という発音になります。